憧れの国立天文台・岡山天体物理観測所(岡山天文台)へ

目次

8 月の終わりに国立天文台・岡山天体物理観測所(岡山天文台)の一般公開に行ってきました。いろいろな研究所の一般公開に興味があるのですが、岡山観測所は特に憧れの研究所です。

憧れの岡山天文台

まだ中学生の頃、学校の図書室に「天文台日記」という本がありました。そのころは宇宙に興味があったので、ほとんど毎日お昼休みになると図書室でこの本を読んでいたような気がします。科学者に憧れるようになったのは、この本の影響がかなり大きかったと思います。

この本の舞台が、今回見学した国立天文台・岡山天体物理観測所です。関西に引っ越して来てから一度は行きたいと思っていたのですが、行きそびれていました。今年「青春 18 きっぷ」の消化のために旅行先を探していたら、偶然その岡山天文台が一般公開をするという案内を見つけました。そこで、これは行くしかないと文庫版になった「天文台日記」を読みながら「青春 18 きっぷ」でのんびりと行ってきました。

高齢者は科学好き

天文台の最寄り駅は倉敷から少し西に行った鴨方駅です。ここから天文台まではだいたい 1 時間に一本の割で無料のシャトルバスが出ていました。ただしシャトルバスの利用者は少なく、ほとんどの見学者は車で来所していたようです。ただ駐車場は小さいので、車を市役所に置いてシャトルバスを使った方が良さそうです。

見学者の構成は、小学生くらいの子供を連れた家族と 60 歳以上の人が半々というところでした。どこの研究所の一般公開でも高齢者の割合が多いのが面白いところで、科学万能と思われた高度成長期を経験しているためか若い世代よりも科学に興味があるように思えます。後は私のような科学オタクがちらほらというところです。

目玉は見晴らしと巨大な鏡

岡山天文台は、非常に見晴らしのいい山頂にあります。標高は、六甲山よりも低いと思うのですが、その見晴らしの良さにはビックリでした。南には瀬戸内海、北には中国山地の山並みがずっと続いていました。休みの日にお弁当思ってピクニックに行くにはうってつけの場所です。それに夜は仕事中なので見学できませんが、綺麗な星空と街の明かりでロマンチックだと思います。

ここの目玉は、建設当時東洋一の大きさを誇った 188cm 反射望遠鏡です。望遠鏡自体は、普段から公開されているのだそうですが、この日だけはドーム内の少し高い通路に上がって 188cm の巨大な鏡(主鏡)を眺められます。その鏡を見たからと言って何があるわけではありませんが、非常に人気でした。見学のためには整理券をもらう必要があり天文台に付いてすぐに列に並んでいたら、あっという間にドームを半周するほどの人が並びました。

百聞は一見にしかず

この主鏡を見学する通路に登るには、ドーム内の床全体が舞台装置のようにせり上がるので、これを使って登ります。「天文台日記」にも床がせり上がるということが書かれていたのですが、今一つピンとこなかったのですが、実際に体験して「これの事か!」と納得しました。

納得したと言えば、鏡をアルミでコーティングする作業に使う釜の大きさや作業の様子も分かりました。できれば天気の回復待ちなどの時間を過ごす「深夜喫茶」と呼ばれる部屋を覗いてみたかったです。

贅沢な「ミニ講座&天文なんでも相談」

その他に小さな望遠鏡や天文博物館を見学できましたが、正直あまり興味をそそるものはありませんでした。見学自体は 188cm 反射望遠鏡だけと言っても過言ではないでしょう。しかし、それらの望遠鏡を使って実際観測・研究している研究者や学生さんから話を聞けるのは面白かったです。

特に「ミニ講座&天文なんでも相談」コーナーがすごく贅沢でした。この手の講座や質問コーナーは、大抵若手の教員や学生が担当することが多いと思うのですが、京都大学の長田教授という方が 1 時間ずつ 3 回担当して私を含め見学者の質問に非常に丁寧に答えてくれていました。正直なところ国立天文台台長の特別講演より面白かったです。

一般的な研究所の公開に比べると小じんまりしたものではありましたが、見晴らしも良くずっと憧れていた天文台でとても楽しい見学でした。意外と近かったし、来年もまた行ってみようかと思います。