金環日食の連続写真と風景の合成写真

目次

もうすぐ金環日食。太陽がだんだん欠けて金環日食になる様子を一枚の写真に合成、さらに日食の連続写真だけでなく風景も合成したい。そんな私の簡単な合成写真の作成方法。

用意するもの

時間をずらして撮影した写真
三脚でカメラを固定して常に同じ範囲を撮影するようにして、日食が進む様子を一定時間間隔で撮影します。日食が終わっても固定したままにしておき、合成するための背景となる風景を太陽が撮影範囲から完全に外れてから撮影します。背景となる写真は、空がやや暗めになる位に撮影しておくと連続写真と合成した時に太陽が映えます。

詳しい撮影方法は、「金環日食の連続写真を撮影」を参照。

画像編集ソフト
複数の写真を合成できるソフトならば何でも使用できると思います。私は Photo Shop Element 5.0 を使っています。最新版のPhoto Shop Elements 10ではありませんが、かなり古いバージョンの 5.0 で十分です。

合成写真の作り方

金環日食の連続写真
日食観察プレートや減光(ND)フィルター越しに撮影した太陽の合成には、「比較(明)」を使います。真っ黒な背景に明るい太陽が写っていますので、不透明度は 100%で綺麗に合成されます。

カメラを固定して常に同じ範囲を撮影しているので、位置合わせは必要ありません。単純に重ねて合成して行くだけです。

背景を合成
最後に金環日食の連続写真と背景を合成します。この時も金環日食を撮影した範囲と全く同じ範囲を背景としているので位置合わせは不要です。むしろここで位置をずらしてしまったら、科学的には合成では無くねつ造になってしまいます。

背景が青空の場合は、金環日食の連続写真の時と同じく「比較(明)」の不透明度 100%で合成します。

ただしうす曇りや風景に露出が引っ張られて空が白っぽくなってしまった時には、二通りの合成方法があります。

一つ目の方法は、背景を暗めに調整した後に、金環日食の写真を「比較(明)」の不透明度 100%で合成します。

もう一つの方法は、背景と金環日食の連続写真を「通常」で合成します。不透明度 100%だと一番上に置いた写真しか表示されませんが、不透明度を下げて行くとだんだんと下の写真が見えてくるので、適当な値に調整します。最初の写真は、この方法で合成しました。

芸術としての合成写真

金環日食の連続写真を実際とは異なる背景と合成することは、科学的には全くのデタラメです。ただし芸術としてならありだと思います。誰が見ても合成と分かれば問題は生じませんが、自然な風景と合成する時には、その写真が科学的なものなのか・芸術としてなのかという立場を明確にする必要があります。

上の写真に「井の中の太陽」とかタイトルを付けて芸術作品とするならば問題ありません。しかしカップに写した太陽の連続写真としてしまったらねつ造です。

追記:2012 年 5 月 21 日の金環日食連続合成写真

広角レンズで午前 6 時 50 分から午前 8 時 40 分までの 10 分ごとに撮影した日食と、望遠レンズで午前 6 時 50 分から午前 8 時 30 分までの 20 分ごとに撮影した日食を合成した。望遠レンズと広角レンズで撮影した同じ時刻の太陽は、ほぼ同じ位置になるように並べた。