二分割で六甲全山縦走
六甲全山縦走路を一日で歩く自信はありません。しかし二分割にすれば私でも一泊二日で歩けました。
六甲山の須磨浦公園から宝塚までを一日で縦走する全山縦走大会が毎年秋と春に開催されていましす。日の出前にスタートして、トレランのような速い人で夕方、普通に歩くと真っ暗になった夜の 8 時,9 時にゴールするかなりハードな大会です。
制限時間内にゴールするために歩く速さと時間を考えると、一日で六甲全山を縦走するというのは私には到底無理です。しかし六甲山系の西は住宅地、東は観光地となっているので、体力に合わせてスタート・ゴール地点を途中に設定できます。そのため私でも六甲全山縦走路を分割して歩ききることができます。
体力的には三分割で歩くのが気持ちよく歩ける範囲です。しかし鵯越駅をゴールにするのは、最後が住宅街歩き、それも住宅地の山を一つ超えてさらに急坂を登ってゴールというのが嫌です。またその後の分割地点ではケーブルカーかロープウエイを使って下山・スタート地点へ移動ということになるのも、「ケチ」な性格からも嫌です。スタートが塩屋駅なのも、三ノ宮からの交通費が安くなるからです。
そこで市ケ原で二分割して、歩く時間は長くなりますが頑張って歩くことにしました。それも連休なので二日連続で歩くことにし、気分は山小屋泊一泊二日での六甲全山縦走です。
ルートと注意点
- 2016-3-20
- 塩屋駅(7:17)→ 旗振山(8:08)→ 高倉台(8:42)→ 横尾山(9:18)→ 須磨アルプス・馬の背(9:37)→ 高取山(11:05)→ 鵯越駅(12:01)→ 菊水山(13:30)→ 鍋蓋山(14:51)→ 市ケ原(15:43)→ 新神戸駅(16:36)
- 距離と時間
- 21.7km 約 9 時間半(休憩を含む)
- トイレ
- 塩屋駅内、須磨裏山上遊園、おらが茶屋、高取山、鵯越駅内、下水処理場、再度公園、市ケ原、新神戸駅。
- 2016-3-21
- 新神戸駅(7:17)→ 市ケ原(8:08)→ 摩耶山(掬星台)(9:52)→ 杣谷峠(10:27)→ 記念碑台(11:23)→ 六甲ガーデンテラス(11:58)→ 六甲山最高峰(13:02)→ 船坂峠(14:27)→ 大谷乗越(15:11-15:23)→ 塩尾寺(16:30)→ 阪急宝塚駅(17:14)
- 距離と時間
- 24.4km 約 10 時間(休憩を含む)
- トイレ
- 新神戸駅、市ケ原、摩耶山、記念碑台、ガーデンテラス、六甲山最高峰、宝塚駅。
六甲全山縦走路の距離は、須磨浦公園から宝塚まで 50 数 km と言われています。私の GPS ログで 40km 程度となっているのは、登り下りを考慮していない単純な直線距離を計算しているからかも知れません(注1)。
注意点
- 一日目
- 須磨アルプスは、馬ノ背の両側が切れた細い尾根を通過するところも危険ですが、横尾山から下って鎖がある所の下りも要注意です。
- 妙法寺小学校の所からしばらく車道を歩きますが、交通量が多いので左側(北側)の歩道を歩きます。また道を渡るところがカーブで見通しが悪いので、少し先に行って向こうからくる車がよく見えるところで渡ったほうが安全です。
- 二日目
- 丁字ヶ辻から記念碑台の手前まで歩道のない車道を歩くので車に注意が必要です。道の北側が比較的路側が広く小学校の通学路に指定されています。
- ガーデンテラスから石の宝殿までに何度も車道を横断します。カーブで見通しが悪く、車は人が歩いていない前提で走ってくるので、十分注意して渡ります。
- 石の宝殿手前のトンネルの上を行くコースは、崩落のためコース入り口にロープがはられていました。通行止めということではなく「注意してください」という程度の案内が書かれていました。怪我したくないので、今回はトンネルを抜けました。
- 石の宝殿から先は有効なエスケープポイントがないので、後 4 時間歩ける自信がなければ有馬温泉へ下ることをオススメします。
- 石の宝殿の先、水無山から船坂峠の間はザレた下りが何ヶ所かあり、ちょっと苦労させられます。
ルート案内
塩屋駅から高倉台
JR 塩屋駅を出たら、古い商店街の中を北に進みます。商店街を抜けたら毘沙門の道標に導かれて川沿いを進み、幼稚園(保育所?)の前を通る急坂を登ります。急坂を登りきり団地の南に出たら、神戸市少年の家の方に坂道を登って行きます。さらに奥に進むと墓地の前に出て、その少し先から山道が始まります。この時期はウグイスがよくこの辺りで鳴いています。
道に沿って登って行くと、階段を登り切ったところで塩屋からの別の道と合流します。後はそのまま進むと須磨浦山上遊園の噴水広場に出ます。ここからは明石海峡大橋がよく見えます。
さらにもう少し登ると旗振り山に出ます。茶屋の前からは、須磨の海岸と神戸市街が見渡せます。
旗振り山を過ぎると尾根伝いに鉄拐山を経ておらが茶屋に着きます。おらが茶屋の屋上からの東西方向の見晴らしも見事です。おらが茶屋から階段を下ると、高倉台の住宅街に出ます。
高倉台から妙法寺駅
高倉台の住宅地を抜けると、明石海峡大橋など見晴らしが良い急階段があります。
急階段を登り切るとすぐに栂尾山に着きます。この栂尾山も展望台になっています。栂尾山から尾根道を進むと横尾山に着きます。
横尾山を過ぎると鎖のある岩場や須磨アルプス(馬ノ背)という難所が続きます。特に馬ノ背はとても細い尾根道なので注意して越えます。
須磨アルプスを越えて一旦登り返し、北に下ると横尾の住宅街に出ます。バス道に出て下ると妙法寺駅があります。ただし縦走路は、妙法寺駅に行く手前に分岐があります。
妙法寺駅から鵯越駅
高取山に向かうには、バス道を妙法寺駅に向かいますが、横尾中学への分岐の先にある団地手前で右に入ります。そのまま奥に進み大きな道の上、さらに道の下を抜けて下って行くと妙法寺の前を通って大きな道との十字路に出ます。十字路の右側 100m くらいの所にコンビニがあります。
十字路を渡って左側の歩道を進んで行くと、カープ右側(内側)に大きな木があります。この木のある所の細い道に入っていきます。ただしここは見通しが悪いので横断に注意が必要です。
細い道を進むと公園があり、その少し先に左に入る道があります。分岐には全山縦走路の案内があったと思います。小さな畑を脇に見ながら進むと公園にぶつかります。公園のフェンスに沿って右に進むと高取山への登山道が始まります。
荒熊神社の所にくると道が水平になり高取神社まで直ぐです。高取神社の階段を登る高取山の山頂です。この階段からの見晴らしも見事です。
高取神社を過ぎると下りになり、道沿いに茶屋が何軒も並んでいます。
東側の見晴らしが良い所を過ぎて少し下ると、茶屋とちょっとした広場脇にトイレがあります。このトイレの所から北東に下ります。砂防ダムを過ぎ、住宅街を下って行くと川を渡って大きな道に出ます。
ここからが道迷い多発地帯の丸山住宅街です。道を渡ったらすぐ左に入り、全山縦走路の案内表示を見落とさないように注意して鵯越駅を目指します。丸山住宅街を越えて、神鉄の線路をくぐる源平町の急坂を登り切り、大きな道路の下をくぐると鵯越駅は直ぐです。
鵯越駅から市ケ原
鵯越駅の新開地方面行きホームの裏(南側)を通って、公園に出ます。公園を抜けると平らな山道となり、舗装路に出たら北に進みます。下水施設の北側を下って下側の舗装路に出ます。下側の舗装路を北進すると下水処理場に出ます。さらに道なりに進むと行き止まりになるので、そこから山道に入ります。
しばらく川沿いに進んだ後、川を橋で渡って菊水山に向かいます。ゴルフ場の脇までくると菊水山の激登りが始まります。菊水山は非常に見晴らしが良く、歩いて来た山々を見渡すことができます。
菊水山を越えると一旦天王吊橋まで下った後、下ったのと同じくらいの標高差を鍋蓋山まで登り返します。この下りと登りもなかなか急です。鍋蓋山からは神戸港など南側の展望が開けています。
鍋蓋山からは、多少のアップダウンを繰り返して大龍寺の前に出ます。大龍寺からは車道を市ケ原のすぐ手前まで下っていきます。さらに川沿いを下ると生田川に出会い、橋を渡って対岸を登ると市ケ原です。
一日目はここまで。脳内山小屋を目指して新神戸まで舗装路を下ります。
市ケ原から記念碑台
二日目は、脳内山小屋を出発してまず新神戸から市ケ原まで登ります。新神戸から市ケ原まではほとんど舗装路ですが、市ケ原を越えると山道になります。
市ケ原を出発したら学校林道との分岐まで頑張って登ります。
学校林道との分岐を過ぎると急な登りはなくなり、尾根沿いにアップダウンを繰り返すと摩耶山に着きます。摩耶山も見晴らしがいいところです。
摩耶山からは、オテル・ド・摩耶の前を通って、天上寺の裏を抜け、アゴニー坂を下り車道に出ます。車道を進み神戸市立自然の家を過ぎたところからまた山道に入ります。
階段をクリアしてさらに進むとまた車道に出ます。丁字ヶ辻には、車道沿いに進むコースと、三国池の方を回るコースがあります。私は大抵道を渡って山道を進んで三国池に寄ってから、さらに登って車の少ない北側の道で丁字ヶ辻に出るコースを取ります。
丁字ヶ辻から記念碑台までは車道を歩きますが、六甲山ホテルの前までは交通量が多いのに歩道がないので車に十分注意する必要があります。
六甲山ホテル先にある交番を過ぎた所にある階段を登ると記念碑台に着きます。
記念碑台から六甲山最高峰
記念碑台からは、十字路を斜めに渡って池の先にある坂道に入ります。六甲山小学校を過ぎ、ゴルフ場目指します。ゴルフ場を奥に進むとコースに沿った道があります。この道を進み、車道を渡ってみよし観音の脇を通り、階段を登ってガーデンテラスに出ます。
ガーデンテラスの車道沿いに一番東まで行くと電波塔があるので、それを囲むフェンスに沿って南側を進みます。そして電波塔のたくさん立っている山を越えると紅葉谷への分岐がある極楽茶屋跡にですます。
道沿いにしばらく東に進むと北側に山道があります。これを辿って何度か車道を渡りながら進むと最後に階段を登り六甲山最高峰へ続く舗装路に出ます。この合流地点からは、大阪方向の眺めが最高です。舗装路を北側に進むと電波塔があり、その奥に最高峰の柱が立っています。
六甲山最高峰から宝塚
最高峰から舗装路を下り、車道に沿って少し東側に進みます。南側に山道があるので、これを入ります。また車道に出たら道沿いに進み、トンネルを抜けます。石の宝殿を超えてしばらく車道を下りますが、歩道がないので車に注意する必要があります。
石の宝殿から 5 分ほど車道を下ると切り通し状の手前に東側に下る山道があるので、ここを下ります。しばらくは歩きやすい尾根道ですが、水無山から船坂峠まではザレた急坂が所々にあります。
船坂峠を過ぎると歩きやすい林の中の道になります。大平山のところで舗装路に出るので、道沿いに 10 分ほど下りまた山道に入ります。大谷越えの手前で階段状の急斜面を下ります。
車道を渡ると、ここからは歩きやすい山道が続きます。ゆずり葉台へ下る道との分岐を過ぎると、すぐに送電線の鉄塔があります。ここでコースを少し外れて南側に入ると、西宮から大阪方向の見晴らしが良い場所に出ます。
さらに歩きやすい道を進むと神社があり、ここからしばらくザレた下りがあります。最後階段を下ると塩尾寺に出ます。
塩尾寺からは車道をどんどん下っていきます。大学の体育館脇を過ぎて T 字路に突き当たったら、道標を確認しながら住宅街を抜けて宝塚駅を目指します。
景色と発見
絶景ポイント
このコースはいくつものピークを越える縦走コースです。そのため途中には見晴らしの良い場所がいくつもあります。天気が良ければコースの前半は海の眺めが素晴らしく、後半は大阪平野と大阪湾の眺めが最高です。
一日目は少し雲が多く、旗振り山からは須磨の海岸に雲の隙間からさす光の筋が見えていました。このような光の筋は、「天使の階段」とも呼ばれるそうです。
山らしい景観は、やはり須磨アルプスです。すぐ下には住宅街が広がっているのですが、低山とは思えない荒々しく迫力のある山肌が広がっています。
見晴らしという点では、六甲山最高峰の下や塩尾寺から下った所から見る大阪平野の眺めが絶景です。六甲山最高峰の下は、標高があるので大阪平野だけでなく大阪湾の入り口までも眺められます。反対に塩尾寺から下った所は、標高が低いので街並みが手に取るように見えつつ生駒山から京都との方まで見えるのが魅力です。
その中間が、塩尾寺手前の送電線のところです。ただし写真を取ると必ず送電線が入り込んでしまいます。
ところが今回大阪市街がよく見える場所を見つけました(注2)。
大谷越えを過ぎてしばらく進んだところで、木々の間から大阪市街がよく見えることに気が付きました。ただこれは木が葉を落としていたからで、これから葉が出てくるとあまり見えなくなってしまいそうです。ドーンと広々とした眺めだともっと良いのですけど。
椿
ここ最近椿の花に魅せられています。それほど綺麗な花だとは思っていませんしたが、椿が咲いていたり花が落ちているとつい写真に収めてしまいます。この変化は、フキノトウの苦味を美味しいと感じてしまうような年齢によるものなのでしょうか。
特に椿の落花が魅力的です。登山道にパラパラ落ちていたり、斜面を転がって溜まった落花につい目が行ってしまいます。
ただ椿の花に引き寄せられるのは私だけでないようで、椿の花が落ちている近くに杭があると、その上によく椿の花が乗せられているのを見かけます。
誰がこんないたずらを始めるんでしょうね。もちろん私も傷んだ花を新しいのに置き換えました。
摩耶紅梅
摩耶山では紅梅がちょうど満開になっていました。
掬星台の広場ではテントを広げている人がいました。春になり、そろそろ私も泊まりがけの山歩きに行きたくなっています。
その他の花
3 月に入ると山道にも色々な花が咲き出します。まず最初にキランソウやアセビが花を咲かせます。
ミツバツツジやタムシバが咲き始めると、春も本番になります。今回標高の低い須磨から高取山の辺りではミツバツツジが咲き始めていましたが、摩耶山から六甲山最高峰にかけてはまだかたい蕾のままでした(注3)。
ヒメオドリコソウやスミレは、山の草というよりはもっと人里や街場に近い所に生える草ですね。
費用
項目 | 金額 | メモ |
---|---|---|
JR | 220円 | 三ノ宮から塩屋 |
阪急 | 280円 | 宝塚から神戸三宮 |
お茶 | 140円 | 記念碑台 |
合計 | 640円 |
阪急または阪神で三ノ宮(神戸三宮)から須磨浦公園まで行くと 370 円となります。この差をケチってスタートを塩屋駅にしました。
宝塚から帰るときに料金をイコカで払いましたが、土日祝日限定で使える割引きっぷが阪急にはあります。
ゴミ採集ゲーム
- 2016-3-20
- 23 点採集して「役なし」でした。けっこう大漁で役ができると思ったのに残念。
- 2016-3-21
- 28 点採集してペアが一つでした。20 日に採集した物の記憶が残っていたのか、採集した時にはもっと役ができている気がしたのですが。それと風が強くて、採集した物を落として飛ばされそうになってしまいました。
参照と脚注
- KOBE六甲全山縦走大会参加のご案内 – 神戸市では50数kmとなっています。測定の仕方で距離に差があるのは当たり前ですが、50数kmというのは長く見積もりすぎているようです。六甲全山縦走路の距離
- 縦走路から少し外れますが、岩倉山の電波反射板のところからも大阪市街がよく見えます。ただし視界が木で狭められていて、あまり広々とした見晴らしではありません。
- この記事を書いている4月半ばは、既に摩耶山などではミツバツツジの見頃になっていると思います。反対に標高が低いところでは花が終わっているかもしれません。