99.9%は仮説
99.9%は仮説 思いこみで判断しないための考え方 (ISBN: 978-4-334-03341-5)
毎日〇〇の仕組みが解明されたとか、新しく □□ が発見されたという記事が発表されますが、それら全ては 99.9%どころか科学的には 100%「仮説」であるということに驚きました。それだけでなく、現在多くの科学者が「正しい」と考えていることすら仮説の一つに過ぎないということです。
絶対に正しい「真理」と呼べるのは、数学の定理のみです。科学は、多くの科学者が間違いなくこうだと考えていても、より精密な実験や観測を行うと否定するデータ(反証)が見つかり説が覆される可能性を常に秘めています。逆に言うと、この反証で仮説が覆るのが「科学」ということです。
ただ仮説だとは言ってもその信ぴょう性は様々です。この本では、それを多くの科学者が正しいと考える「白い仮説」から、相当疑わしいまたは間違いだと考えている「黒い仮説」まで信ぴょう性を明るさで表現しています。
ここで面白いのは、相当疑わしいまたは間違いとされた説が葬られるのではなく、「黒い仮説」として残ることです。そしてアインシュタインの宇宙定数のように一度は間違いとされた「黒い仮説」が後に「白い仮説」になる事があるということです。
発見や解明されたというニュースに接すると、なんとなくそれは正しいと思ってしまいがちですが、それが白から黒のどの辺りにくる仮説かを考えて受け取る必要がありそうです。
科学の発見や説を疑うことは比較的簡単そうですが、普段の生活も全て仮説の上に成り立っていると意識することは難しそうです。しかしこの仮説(常識)を疑えるようになることが、頭を柔らかくし、それにより世界の見え方や感じ方を大きく変える鍵だということです。
普段接する政治や経済、さらに芸能ニュースであっても、なんとなく読んで「そうか」と思うのでなく前提としている常識は何か?と考えてみると、大して深くはないでしょうけど今までよりもニュースが面白く感じられるようになった気がします。
関連書
- この世の常識は「仮説」だらけ! なぜ人は「ニセモノ科学」にダマされるのか!?(ISBN: 978-4863892811)