福寿草を見に神戸市立森林植物園へ

目次

森林植物園の福寿草は良い感じに咲いていました。またマンサクもちょうど見頃で、ソシンロウバイの甘い香りも楽しめました。ただ梅は洞川梅林ともにまだ少し早く、もう一週間くらい先のほうが良かったようです。

景色と発見

神戸市立森林植物園で福寿草が咲いているとのニュースを聞いたので、行ってみることにしました。また市街地の梅はもう終盤ですが、標高が高い洞川梅林はまだ少し早いかと思いながら帰り道ついでに様子を見に行ってきました。

森林植物園までは、新神戸からだと二時間で行けます。それも半分は舗装された道で、山歩きは 1 時間程度の非常にお手軽なコースです。これでは面白くないので、遠回りをして長峰山からシェール道を通って向かうことにしました。

ドングリの芽生え

長峰山への急な登りの終わりは、神戸市外を見渡せる笹原になっています。ここは北からの風が遮られて、反対側から下って来る時にほっと一息つくのに良い場所です。

ここでふと脇を見ると、ドングリが芽を出していました。マテバシイの芽でしょうか。

ドングリの芽生え。

あの硬い殻を割って芽を出すってすごいなという驚きと共に、ドングリの中に大豆などと同じく二枚の子葉が入っていることを確認しました。双子葉植物ですね。

この厚い子葉の養分を使ってしばらく根を伸ばした後に栄養を作る葉を出すのですが、根を出す胚の部分は、ドングリの尖った先端にあるのでしょうか?それとも平らな方にあるのか?それを知らないことに気が付きました。今度甘栗を食べるときに気をつけて観察してみます。

角の生えた幹

シェール道を歩いていると表面がボコボコした木が生えていました。表面が盛り上がっているよ言うよりむしろ角のように尖っています。刺というほどではありませんが、ぶつかりたくない木です。

木の幹に角のようなコブがたくさん。

なんの木なんでしょう? 角のような盛り上がりは下の方だけで、木の上の方にはこのような突起はありませんでした。

落葉しないヤマコウバシ

秋になって紅葉すると、冬には葉を落とします。しかしヤマコウバシはいつまで経っても落葉しません。そのためにこの季節ほとんどの木が落葉した中でしっかりと葉をつけているのでヤマコウバシはとても目立ちます。

ヤマコウバシ。

もう光合成をしないのに何で葉を落とさないのか不思議です。また夏以降に枯れ葉と緑の葉が同居する木を見かけないので、きっとどこかで葉を落としているはずです。その入れ替わりがどのように行われるのも気になります。

オリエンテーリング大会

森林植物園に着くと、遊歩道でない斜面から人が転げるように降りてきたのにびっくりしました。他にも普段は静かな園内を走っている人が何人もいました。よく見ると胸にゼッケンを付けて手には地図とコンパスを持っていました。オレンジと白のポストもあったので、植物園内でオリエンテーリング大会をしていたようです。

宝探しのように地図を読んで隠されたポストを見つけて回るのは楽しそうですね。山道を走るトレランとすごく近い競技な気がするので、トレランをしている人は参加してみると面白いと思います。ただハイキングな私は、あんなに汗かいて走りたくないかな。

神戸市立森林植物園

森林植物園の木々はまだ葉を落としたままで、芽吹きの季節までまだ時間がかかりそうでした。それでも天津の森(注 1)は花が咲いて、近づいただけで良い香りがしていました。

マンサクの花。

マンサクの花は、リボンのような花びらが特徴的です。チアのポンポンみたいで可愛い花ですね。

ソシンロウバイ。

そして良い香りの主は、このソシンロウバイ。思わず鼻を近づけて思い切り香りを嗅いでみたくなります。

森林植物園に植えられているロウバイには、このソシンロウバイと普通のロウバイの二種類あります。見分け方のポイントは、花の中心の色です。ソシンロウバイは花の中心も黄色いのに対して、ロウバイは花の中心が赤くなります。また花が咲く時期も違っています。まずロウバイが 2 月上旬に咲いて、少し遅れてソシンロウバイが咲きます。そのためロウバイは、まだ良い香りがしますが既に花の見頃は過ぎていました。

ロウバイは、この天津の森の他に、ウサギの国の脇にも植えられています。こちらはロウバイだけでソシンロウバイは見当たりませんでした。

白梅。

森林植物園の梅は見頃にはまだ少し早かったようです。

フクジュソウ。

今回一番の目的である福寿草は、正面入口に近いロックガーデンに植えられています。

福寿草は、昼間暖かくなると花が開き、夕方寒くなるとまた花を閉じてしまいます。そのため遠回りをしてお昼頃に森林植物園に着くようにして正解でした。何株もの福寿草が黄色い花を開いていました。

カエルの卵

ウサギの国脇の池は、冬でも水が無くならないようにか、凍結しないようにか大きなタライを埋めて水深が深くしてあります。

この水たまりを覗くとカエルの卵がありました。

アカガエルの卵塊。

卵が互いにくっついてボール状になっているのはアカガエルの卵です。

ここには二種類のアカガエル(ヤマアカガエルとニホンアカガエル)が生息していると案内看板がありました。ヤマアカガエルとニホンアカガエルでは、卵のみっちりくっつき度合いが違うそうですが、どちらのアカガエルか見分けるのは難しそうでした。

ヒキガエル(別名ガマガエル)の卵。

こちらは、ヒキガエル(別名ガマガエル)の卵です。これはヒモ状に長くつながった特徴的な卵ですぐにわかります。

先日アカハライモリを見つけたので、今度はその卵を探してみようと思います。

鈴なりな松ぼっくり

森林植物園から洞川湖への途中には、不思議な松の樹が生えています。

鈴なりの松ぼっくり。

松笠の形は普通の松と同じような気がするのですが、その付いている数が普通ではありません。たわわに実ったという形容がぴったりです。そおいう種類の松なのでしょうか?

洞川梅林

洞川湖の南にある梅林にも寄ってみました。しかしまだ少し早くて 2,3 分咲きというところでした。梅の花は満開よりも少し手前のまだ蕾が残っていることのほうが風情があって好きなので、見頃はあと一週間くらい先だったでしょうか。

洞川梅林の梅。

梅。

梅の幹にウメノキゴケが生えていました。この苔は大気汚染に敏感で指標植物として使われます(注 2)。そのウメノキゴケが生えているということは、空気が比較的きれいだということですね。

シーズン初のスミレ

市ケ原の布引ダムへの取水口の所で、このシーズン最初のスミレを見つけました。スミレの種類は分かりませんが、数輪咲いていました。

今年最初のスミレ。

まもなく 3 月。3 月になると気温が上昇し始めて本格的な春もすぐそこです。

ルートと注意点

主な目的は森林植物園の福寿草を見ることでしたが、それだけではつまらないので体力的に少しハードな登りを加えてみました。また福寿草は昼間暖かくなってから花を開くので、時間調整の意味もあります。

このコースは、最初にきつい登りがありますが、技術的に難しかったり危険なところは特にありません。しいて危険箇所を挙げるならば、長峰山の尾根部分は狭い部分があることと、シェール道の飛び石でしょうか。

2016-2-28
篠原本町 2 丁目バス停(8:09)→ 長峰山(9:42-9:54)→ 杣谷峠(10:25)→ 穂高湖(10:31)→ シェール道 → 桜谷出合(11:27)→ 神戸市立森林植物園東口への分岐(11:55)→ 神戸市立森林植物園 → 神戸市立森林植物園西口(13:50)→ 洞川梅林(14:17-14:48)→ 市ケ原(15:27)→ 布引ダム(15:46)→ 新神戸駅(16:09)
距離と時間
15.9km 約 8 時間(休憩を含む)
トイレ
杣谷峠、森林植物園、再度公園、市ケ原。

長峰山へは、篠原本町 2 丁目バス停から川沿いに少し登って、最初の橋の所から西に入って道なりに坂を登っていきます。少し進んでお墓の十字路を越えると激登りが始まり、伯母野の登山口まで延々とこの登りが続きます。この登山口にはヒマラヤスギがあるので、季節になるとシダーローズを見つけられると思います。

伯母野の登山口からは、平らな道をしばらく東に進み、送電線の鉄塔の所からまた登りが始まります。砂防ダムを超えてしばらく登ると見通しが良い斜面に出て、送電線の鉄塔の所に来ると急な登りももうすぐ終わりです。

激登りが終わり南側が開けた所に出ると、小さい登り下りを何度か繰り返し長峰山の天狗塚に着きます。コースから少し外れて岩の上に立つと、摩耶山や芦屋・大阪の方まで一望できます。岩の上は広いので、休憩に良い場所です。

長峰山の天狗塚から見た摩耶山。霞がかかっていて、あまり見通しがよくありませんでした。

天狗塚を過ぎるとすぐに大きく下ってまた登り返し、後は尾根道を杣谷峠に向かいます。

穂高湖からは、湖畔の東側周回路を周ってダムの下に出て、林道をしばらく進んでシェール道に入ります。シェール道は川沿いの道で、途中何度か飛び石で川を渡ります。

穂高湖畔から見たシェール槍。今回はシェール槍には登らずに、まっすぐシェール道に下りました。 シェール道の飛び石。明るい落葉樹の林に風化した花崗岩の白砂がきれいです。 シェール道の飛び石。シェール道は、トエンティクロスよりも楽しいコースです。 夏ならば流れの中をジャブシャブ歩きたくなるような流れ。ハイキングコースは、この流れを横切るだけです。

トエンティクロスから摩耶山へ登る場合には桜谷を登る人が多いかと思いますが、少し行程が長くなりますがこのシェール道を登って行くことをオススメします。飛び石があったり広葉樹の林を抜けたり、トエンティクロス以上に川沿い道の楽しさを感じられます。

桜谷出合からは、緩やかで日当たりの良い道を森林植物園の向かいます。森林植物園の東入口のところは川原になっているので、ロックバランシングをしながらお昼を食べるのに良い場所です。

森林植物園の料金所は、この季節無人ですので、備え付けの料金箱に入園料を入れて入園します。この機会に年間無料パスのトリコロールカード(注 3)を買おうという人は、正面入口まで行く必要があります。ちなみに西門はお金を入れると回るバー式なので、無人期間にトリコロールカードで入園するにはインターフォンで係の人を呼んで入れてもらう必要がります。

梅やマンサクの植えられている天津の森へは、長谷池に着いてすぐの坂道を登ってシアトルの森を抜けていくのが近道です。

天津の森には、梅やマンサクだけでなくロウバイも植えられています。ロウバイは、ウサギの国脇にも植えられていますが、天津の森は普通のロウバイに加えてソシンロウバイも植えられています。今回ロウバイは盛りを過ぎていましたが、ソシンロウバイはまだしばらくその良い香りを楽しめそうでした。

福寿草は、正面入り口のロックガーデンに植えられています。少し前の季節にはセツブンソウも見られるそうです。冬の初めは、シモバシラ(注 4)もオススメです。

帰りは、洞川梅林を目指しました。森林植物園の西門から出て、道沿いに少し南に下ってから教育の森への道に入ります。洞川湖に出たら、一旦東に進んで川を渡って対岸の道を湖の南端まで進みます。そこで橋を渡って向かいの坂を登ると洞川梅林に出ます。

洞川梅林からさらに南に進むと再度公園へ出ます。この部分は、ハイキングコース脇の崩落防止工事のため 2016 年 3 月 10 日から翌月の 4 月 15 日まで通行止めになるそうです。迂回するには、西側の鍋蓋山からのコースか、東側のコースを使う必要があります。

再度公園北の仙人谷コースは、工事による通行止めが予定されています。

再度公園から市ケ原までは、修法ヶ原池からの川沿いに蛇ケ谷を下るコースを選択しました。再度公園入口の車道の三叉路下のトンネルをくぐることを間違えなければ、後は道沿いに市ケ原まで下っていくだけです。

費用

項目 金額 メモ
バス 210 円 三ノ宮から篠原本町 2 丁目
合計 210 円

今回は三ノ宮からバスを使いましたが、阪急六甲駅からバス停まで歩いても 15 分くらいだと思います。

森林植物園は有料(300 円)ですが、年間無料パスのトリコロールカード(注3)があるので無料で入園しました。

ゴミ採集ゲーム

19 点採集して「役なし」でした。

ゴミ採集ゲームの結果。

参照と脚注

  1. 天津の森はシアトルの森とブリスベーンの森の間、地図上の C3 にあります。神戸市立植物園 園内マップ
  2. ウメノキゴケは、二酸化硫黄が 0.02ppm 以上では生えにくいということです。神奈川県における植物を活用した大気汚染診断
  3. トリコロールカードは、神戸市立森林植物園だけでなく、須磨離宮公園と相楽園でも使用できます。“超お得”3園共通年間フリーパスポート「トリコロールカード」販売中
  4. シモバシラの霜柱とロウバイ・森林植物園