テツに学ぶ楽しい鉄道旅入門
テツに学ぶ楽しい鉄道旅入門 (ISBN: 978-4591149973)
タイトルは「鉄道旅」入門となっていますが、旅の入門書ではなく「鉄」の入門書です。
「鉄」とは、鉄道を愛してやまない人たちの愛称です。「鉄」と聞いて一番わかり易いのは、駅のホームで写真を撮っている人たち「撮り鉄」です。この本では、そのような分かりやすい「撮り鉄」から始まって、多少の誇張を含めて彼ら「鉄」が鉄道をどのように楽しんでいるかを紹介しています。
その楽しみ方は、電車に乗るのが楽しい「乗り鉄」やコレクションする「収集鉄」など鉄道という共通の対象でありながら非常に多岐にわたっていることに驚かされました。ただ楽しみ方とは言っても全ての路線を乗りつくしたり全ての入場券を集めるなど、楽しみを超えて修行のように完全を目指すのが全ての「鉄」に共通する習性のようです。
ただ完全を目指す結果なのか、同じ鉄道の趣味であっても一つのジャンルには造詣が深くても別のジャンルにはほとんど興味を示さないようです。そのためか鉄道と言っても日本の鉄道限定であったり、実際の鉄道を保存しようというグループのような団体結成は稀で、狭く深い世界になっているようです。この本の中でも筆者は、もう少しコミュニケーションを取り受け身の趣味ではなく何かを作り出すというように発想の転換を「鉄」に望んでいます。
その第一歩として、この深い知識を適度な距離感で自慢してもらえると、美術館や動物園などで解説を聞くとより楽しめるように一緒に旅行している普通の友達や家族は電車の旅をより楽しめるようになること間違い無しだと思います。