破線コースの地蔵谷・アドベンチャーコースから摩耶山へ

目次

「山と高原地図」で破線(難路)となっている地蔵谷とアドベンチャーコースをつなげて摩耶山へ登ってきました。帰りは、かわいいカルミアの花を見るために神戸市立森林植物園に寄り道しました。

毎日 25℃ 以上の夏日が続き水音が恋しい季節になりました。そこで今回は沢音を聞きながら摩耶山の地蔵谷を登ることにしました。

摩耶山の地蔵谷は、「山と高原地図」では破線(難路)に区分されています。 じっさい片側が切れていてコケたら確実に谷へ落ちて怪我では済まなそうな部分もあります。ただ技術的な難易度は高くなる一方で、登り下りが少なく淡々と標高を上げていくので体力的にはむしろ楽に登れるきがします。

そして下山路は、二週間前に摩耶山へ登った時(注1)には咲いていなかったフタリシズカとカルミアの花を見るために桜谷を下って神戸市立森林植物編へ寄り道しました。

景色と発見

地蔵谷とアドベンチャーコース

地蔵谷は「山と高原地図」では破線の難路となっています。 確かにちょっと怖い部分や、標識がほとんど無く技術的には他よりも少し難しいコースかも知れません。しかしずっと沢沿いを歩け、これから暑くなる季節にはおもしろいコースです。

地蔵谷。

六甲山・摩耶山で山道を歩いていて急な部分に差し掛かったら、それは間違いなく砂防ダムを越える所です。しかし地蔵谷では、砂防ダムの他に自然の滝を越える急坂が残っています。

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これは、大きな一枚岩の上を流れてきたものが滝になっているようです。そのため滝の上部は滑り台のようになっています。

一枚岩の上を流れる。

もちろんこれを渡る所に橋はありません。他のところなら川に落ちたら濡れるだけですが、もしかしたらそのまま滝の下まで滑って行ってしまうのではと怖くなります。

地蔵谷の流れ。

なので川幅は広がりますが、いつももう少し上流の所を渡るようにしています。

地蔵谷の上部は、そのまま天狗道につながっていますが、黒岩尾根の上部につながるアドベンチャーコースもあります。このコースには、摩耶山で唯一の鎖場があります。

摩耶山の鎖場。鎖場があるのはアドベンチャーコースだけだと思います。

唯一と言っても三箇所くらい鎖が張られた場所がコース内にあります。鎖がなくても登り降りに支障はないのですが摩耶山や六甲山の他では見たことがないので、そおいう意味でもおもしろいコースです。

二週間の差

二週間前にはまだ蕾だったフタリシズカとカルミアですが、今回はどちらも花が咲いていました。

フタリシズカ。 カルミア。蕾が金平糖のような可愛い花です。

カルミアは金平糖のようなかわいい蕾が人気ですが、雄しべが花びらにくっついているという構造も不思議です。

カルミアの方はまだ蕾も沢山あったので、まだしばらくは楽しむことができそうです。

神戸市立森林植物園

冬の間は人もまばらだった森林植物園ですが、春になり歩いている人がだいぶ増えてきました。

サクランボ。

ここは紫陽花で有名なので、もうしばらくするとさらに沢山の人が紫陽花を見に来るはずです。

紫陽花にも色々な種類があるので、一月以上に渡って花を楽します。しかしいつも見逃していたのが、ツルアジサイです。

ツルアジサイ。普通の紫陽花より花が咲く時期が早い。

これは名前の通りツル性の紫陽花です。ただ普通にイメージされるアジサイの開花時期よりも早いので、アジサイのシーズンに訪れると既に花が終わっています。

今回はちょうど開花している時に来れてラッキーでした。

他にアジサイの仲間では、名前はウツギとなっているのにアジサイ属のコガクウツギが咲いていました。ノリウツギもそうですが、姿がウツギに似ているからということですがどの辺りがウツギに似ているとされたのでしょう?

コガクウツギ。名前はウツギなのに見ての通りアジサイ属です。

森林植物園で忘れてはならないのがウサギの国です。この季節は、春に生まれた小ウサギが跳ねまわる時期です。

今回行ったら、ウサギの国の区割りが変わっていて、小ウサギだけを集めた集めた「保育園」が作られていました。

子ウサギ。ウサギの国に、子ウサギを集めた「保育園」ができていました。 ウサギの国の住人。

ヒノキの新芽

登山道脇にヒノキが生えていたのですが、ちょっと面白いことに気が付きました。

ヒノキの新芽。今年伸びた部分は、それまでのところよりも緑が薄い。

葉の先端だけ黄緑ですね。

新しい葉は、枝から延びた新芽に付くのかと思っていました。しかしヒノキは、これまでの葉の先端に新しい葉が伸びていくようです。これはヒノキだけなのか、それとも杉など常緑針葉樹に共通の特徴なのでしょうか? 杉を見つけたら要チェックです。

その他の花々

テイカズラが各所で花を咲かせていて甘い香りがしていました。

テイカズラ。甘い香りがします。

この花は藤原定家にちなんで名付けられている(注2)のだそうですね。プロペラのような花がおもしろい初夏の花です。

モチツツジ。

初夏になれば、ツツジの季節ももう終わりです。既にヤマツツジは終わっていて、モチツツジの花を見られるのもこれが最後かも知れません。

その代わり摩耶山の山頂付近では、ベニドウダンやウツギの仲間が満開になっていました。

ベニドウダン。ずっとベニドウダンツツジという名前だと思っていましたが、正しくは「ベニドウダン」。 ヤブウツギ。

再度公園では黄色い花菖蒲、正確には帰化植物のキショウブが満開でした。

キショウブ。

この植物は何でしょう?

葉がショウジョウバカマに似ているけど、なんという種なんだろう?

葉の感じはショウジョウバカマの仲間ではないかと思うのですが、図鑑を見てもよく分かりませんでした。

ルートと注意点

2016-5-21

行程
新神戸駅(8:19)→ 市ケ原(9:07)→ 地蔵谷 → アドベンチャーコース → 摩耶山(掬星台)(11:05)→ 桜谷 → 桜谷出合(12:01)→ 神戸市立森林植物園東口への分岐(12:27)→ 神戸市立森林植物園西口(13:23)→ 市ケ原(14:25-14:27)→ 新神戸駅(15:03)
距離と時間
15.5km 約 7 時間(休憩を含む)
トイレ
新神戸駅、市ヶ原、摩耶山、森林植物園

注意点

  • 地蔵谷とアドベンチャーコースは片側が切れた部分があり、滑落に注意する必要があります。また橋がないので、増水にも注意が必要です。
  • 桜谷と神戸市立森林植物園東門側の入り口は、橋がないので増水に注意する必要があります。

ルート案内

新神戸駅裏の階段を登って展望台へ出ます。この部分がいつも一番きつく感じます。

布引ノ滝の上部から。

展望台からは生田川沿いを登ってゆき、さらに布引ダム沿いの道を進んで市ケ原に向かいます。

五本松かくれ滝。布引ダムでできた滝です。この滝が流れているときは、トエンティクロスの増水に注意が必要です。

市ケ原からは六甲全山縦走路を少し進み、黒岩尾根取り付き手前の分岐から地蔵谷に入っていきます。地蔵谷は、道標が少なく道もあまり整備されていませんが踏み跡はしっかりあります。ただし片側が切れ落ちた場所が多いので、滑落に注意して進みます。

地蔵谷の下の方は植林帯ですが、大きな砂防ダムを超えて広葉樹が増えてくるとゴールは直ぐです。ロープのはられた所を登って砂防ダムの上に出ると、少し先にアドベンチャーコースとの分岐を示す道標があります(注3)。地蔵谷コースは、そのまま川に沿って上流に進みます。

アドベンチャーコース(注4)はしばらく水平の細い道を北側に進み、鎖のある急坂を下って谷へ降ります。谷には木のベンチが二台ありました。ここからは登り返して鎖場を経て黒岩尾根のコースと合流します。黒岩尾根に出たら、上部のピクニックエリアを抜けて掬星台への車道を下っていきます。

地蔵谷と、黒岩尾根の先には鷹取山など須磨の山並みが見えます。 日時計。時計を見たらちょうど11時になるところでした。なかなか正確ですね。

桜谷は基本的に川沿いをグングンと降っていきます。

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徳川道と合流して川を渡ると、森林植物園入り口まで気持ちの良い歩きやすい道が続きます。

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カルミアは、二ヶ所に植えられています。一つはシアトルの森入口で、もう一カ所は長谷池からトンネルの方に少し行った所です。

森林植物園からの帰りは、学習の森ではなく森林管理道を行きます。西門を出たら少し南に進み、カーブのところで道を渡って森林管理道に入ります。分水嶺越林道に出たら林道を少し西に進み、車道と合流する手前の所からまた山道に入ります。ここを抜けると、再度公園バス停に出ます。

バス停からは車道に沿って南に進み、池の先に有るトンネルで道の下を抜けて谷沿いの山道に入ります。道なりに進んで車道に出たら、さらに道なりに下って市ケ原に出ます。後は来た道を新神戸まで戻ります。

アカハライモリ。泳いでいると、たまに赤いお腹が見えます。

費用

項目 金額 メモ
合計 0円

新神戸ま駅でも歩いたので、今回は全く交通費を使わずにすみました。

神戸市立森林植物園(入園料 300 円)は、トリコロールカードを持っているので無料で入園できました。

ゴミ採集ゲーム

ゴミ採集ゲームの結果は、12 点採集して「クワッド」が一組でした。

ゴミ採集ゲームの結果。12点採集して「クワッド」が一組でした。

狭い範囲でまとめて見つけたので、同じグループの人が落としたものでないかと推定されます。

参照と脚注

  1. 祝・アイスロード復旧、神戸市立森林植物園へパフェを食べに行く
  2. テイカズラ – ウィキペディア
  3. 地蔵谷の上部とアドベンチャーコースは、古い「山と高原地図」ではラインが実際とは異なっています。最新の「山と高原地図」または地形図を参照して下さい。
  4. 摩耶山と六甲山は色々歩きましたが、「山と高原地図」で赤い実線または破線で示されているコースで鎖場が有るのはこのアドベンチャーコースだけだと思います。もっとも鎖がなくても通過できる場所ではありますけど。