ツツジを見に大和葛城山へ

目次

葛城山へツツジを見に行ってきました。日帰りで十分楽しめるコースですが、朝夕の人が少ない時間につつじ園を独占したくてテント泊にしました。ツツジの満開は少し過ぎていましたが、それでも十分に綺麗なところでした。また新緑もツツジに勝るとも劣らない綺麗さでした。

葛城山のツツジといえば、毎年必ず新聞やニュースで取り上げられるこの時期の風物詩となっています。今年は例年より少し早い時期に満開を迎えた(注1)ようでベストな時期は逃してしまいましたが、やっぱり季節物は楽しんでおかないとと思いツツジ見物に行ってきました。

葛城山のツツジは日帰りで十分楽しめますが、深夜のつつじ園のブログ記事(注2)を見たのと早朝の人の少ない時間につつじ園を独占したいと思いテント泊で行ってきました。

景色と発見

葛城山のつつじ園

下から上がってきて最初に着くのはつつじ園の最上部です。分かっていたことですが、ツツジの花が散ってだいぶ緑が目立っていました。

多くの観光客でにぎわうつつじ園。

しかし下の方に降りてみると、まだまだきれいに咲いているツツジもたくさんありました。

満開のヤマツツジ。全体的には終わりかけですが、探すと綺麗な満開も見られました。 DSC_0891

この日は天気が良かったので、たくさんの人がツツジを楽しんでいました。

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しかし夕方になり日が傾く頃にはぐっと人が減り、昼間の人でが嘘のような静けさに覆われていました。

夕暮れのつつじ園。 DSC_0727

ロープウェイの最終便は臨時で遅くまで運行していたようなので、この時間を狙ってくるのも良いかも知れません。

夜景と星空

すっかり日が落ちた後は、パラグライダーの滑空場に夜景を見に行きました。

御所方面の夜景。

白樺食堂のテラスやロープウェイ駅への道からも夜景は見えますが、ここからが一番街が近く見えます。ただし暗い林を抜けて行くのでちょっと怖い所です。イノシシなのか途中でガサッともの音がしてドキリとしていしまいました。

半月の月明かりに照らされるつつじ園。

また帰りには、月明かりに照らされるつつじ園を見ることができました。この日は半月くらいだったのですが、満月の日だったらもっと明るく照らされて幻想的な景色だったでしょうね。

しかし半月だったので夜半には月も沈み、夜中に目が覚めた時には星空が広がっていました。

天の川とさそり座。

天の川を見たのはホント久しぶりです。さそり座が見えたので夏の大三角も見えていたのでしょうが、星座に詳しくないのでどれがそうなのか分かりませんでした。

深夜のつつじ園。

つつじ園を独り占め

翌日は日の出と共にテントを抜け出し、ツツジを眺めながら朝食のシリアルをのんびりと取りました。 注意:キャンプ場以外は火気厳禁です。

ウグイスとカッコウがたくさん鳴いていて、とても静かなので谷の方で鳴くカッコウの声はこだましているのが聞こえるほどです。

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そうこうする内に同じようにテント泊の人やロッジに泊まった人も出てきて、段々と人が増えてきました。それでもこの時間は、底に行くとつつじ園を独り占めできました。

つつじ園を独り占め。 DSC_0875

底の方ではツツジに露が降りていて、それが朝日を浴びてとてもきれいでした。

DSC_0889 朝日を浴びるツツジ。

戻ってくると人の数がさらに増えており、ロープウェイの始発も早まったのか 6 時半頃には急に人が増えました。

朝6時半頃から既に人が集まりだしていました。 朝はツツジ園越しに金剛山がくっきりと見えます。

大気汚染の指標植物

谷の底の方のツツジには、ウメノキゴケが付いている木が多く見られました。

ツツジの木には、ウメノキゴケが生えているものをよく見かけました。

地衣類は大気汚染に敏感で、ウメノキゴケは大気汚染の指標植物(注3)となっています。そのウメノキゴケが生えているということは、それだけ葛城山の空気がきれいだということです。

色の違うツツジは何?

つつじ園に生えているツツジを見るとそれぞれの木で花の色が微妙に異なっています。その中には、ヤマツツジとは明らかに色が違う株があります。最初はモチツツジなのかと思いましたが、より色が濃く、モチツツジの特徴である額のネバネバがありません。

ミヤコツツジとヤマツツジの赤絨毯。

これは、どうやらミヤコツツジらしい。

読売新聞の記事(注4)には、

奈良県御所市と大阪府千早赤阪村にまたがる葛城山(959メートル)の山頂付近でヤマツツジやミヤコツツジが見頃を迎え、山肌を鮮やかな赤に染め上げている。

と書かれていました。そこでミヤコツツジについて調べてみると、特徴(注5)が一致します。

これがミヤコツツジでしょうか?

ミヤコツツジは、ヤマツツジとモチツツジが自然に交配して生まれた雑種で花の色がヤマツツジとモチツツジの中間になるとのことです。

六甲山を歩いている時にもモチツツジにしてはちょっと色が濃いツツジが咲いているなと思っていましたが、それも多分ミヤコツツジだったのですね。

その他の花々

ツツジにばかり目を奪われてしまいますが、自然観察路などではその他にも他にも色々な花が咲いていました。

先月葛城山へ来た時(注6)にはカタクリが咲いていました。しかしもう花が終わり、葉などもほとんど無くなってしまっていました。それでもちょっとだけ残っていて、残っていたカタクリには実が付いていました。

実を付けたカタクリ。木の実に入っている種が開花するまでには7年近くかかるそうです。

木の実の中の種はアリが運んで分布を広げるのだそうです。そして最初の数年は葉が出るだけで、花が咲くのは 7 年以上後になるのだろうです。

前は人に教えてもらって気がついたのですが、今度は自分でカンアオイを見つけることができました。

カンアオイ。

他にはキバナイカリソウとクルマバソウを見つけました。

白い花に見えるけど、キバナイカリソウ。葉の縁に棘状の毛が生えています。

キバナイカリソウは本州の日本海側に多く見られると図鑑にあったので、葛城山で見られたのは珍しいのでしょうか?

クルマバソウ。

クルマバソウは、葉が同じ所からぐるっと自転車のスポークのように広がっているのがおもしろいですね。確かに車輪に見えます。

マルバウツギ。普通のウツギよりも葉が丸っこい気がします。

これは普通のウツギかと思ったのですが、葉の幅が広いのでマルバウツギだと思います。

テント場(注7)

予約
テント場の予約は必要ありません。ただしツツジの季節は混むので、予約がしたほうが良いとのことでした。
受付
受付は、白樺食堂の焼団子売り場のところで行います。一張り(一人)720 円でした。内訳は、一張り 500 円+一人 220 円。 白樺食堂の営業時間は午前 11 時から午後 4 時までなので、それ以外の時間はロッジでだと思います。
テント場
テント場は、ロープウェイからの道とダイトレが合流した所の少し北側です。板張りの台がありますが、東側の少し高い所にある広場にテントを張っている人もいました。板張りよりもテントを張りやすいと思います。 今回は十数張りのテントがありましたが、広場を含めればまだまだ余裕の広さです。 葛城山は、テント場以外での火気使用は厳禁です。

テント場手前のヤマツツジ。

無料。炊事場の水は、加熱の必要があるとのことでした。直接飲む水は、白樺食堂の食器返却口か、ロッジで分けてもらいます。
トイレ
白樺食堂脇のトイレが使用できます。
貸出
テントが張れるだけでなく、BBQ に必要なものなど貸出も有るようです。
お風呂
午後三時までロッジで日帰り入浴ができます。

夕飯は、いつもの月見うどん。今回は、贅沢に卵が二個入りです。そして寝る前には、山菜おこわ。

ルートと注意点

2016-5-14
近鉄御所駅(9:41)→ 葛城山ロープウェイ・葛城登山口駅(10:48-11:02)→ くじらの滝コース → 葛城山キャンプ場(13:01)
距離と時間
5.9km 約 3 時間半(休憩を含む)
トイレ
近鉄御所駅、葛城山ロープウェイ駅、葛城山山頂
2016-5-15
葛城山キャンプ場(7:47-8:14)→ 自然研究路 → 北尾根登山道 → 葛城山ロープウェイ・葛城登山口駅(10:19)→ 近鉄御所駅(11:38)
距離と時間
6.4km 約 4 時間(休憩を含む)
トイレ
葛城山山頂、葛城山ロープウェイ駅、近鉄御所駅

注意点

  • ツツジの季節は、葛城ロープウェイ駅までの道が渋滞します。そのためバスも近鉄御所駅から 4,50 分かかると言われています。
  • くじらの滝コースは、木製の橋が滑りやすくなっています。また一部片側が急な部分があります。
  • 北尾根コースは、下部にザレた滑りやすい部分があります。自然観察路の最下部と北尾根コースをつなぐ部分に一部細いところがあります。

ルート案内

近鉄御所駅から葛城ロープウェイ駅までバスがあります。ツツジの季節には臨時便が出て、朝は直通のピストン輸送となります。ただしロープウェイ駅までの車道が渋滞するので、歩いてもバスで行っても同じくらいの時間がかかります。

近鉄御所駅から葛城ロープウェイ駅までは、歩きでだいたい 1 時間位です。基本的に駅南の道をまっすぐ西に向かいます。猿目橋バス停からは、老人福祉センターへの少し細い道に入って道なりに進みます。

葛城山の山頂付近は広葉樹の林が広がっていて、この季節は新緑がとても綺麗です。

葛城ロープウェイ駅からは、くじらの滝コースと北尾根コースの二つがあります。今回は、くじらの滝コースで登りました。

くじらの滝コースは、ほぼずっと植林帯の中の丸太の階段コースです。斜度が緩んで小広い場所を越え、谷を登るようになると山頂まで後少しです。谷を上り詰めロープウェイ駅との分岐は、右に進むとつつじ園の最下部に出られます。

くじらの滝コースの植林帯。

ロープウェイ駅からの道と合流したら、山頂下まで簡易舗装の道を進みます。道なりにまっすぐ進み、葛城高原ロッジを抜けるとツツジ園の上部に出ます。

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帰りは、ロープウェイ駅に向かい、最初の自然観察路(西側)に入ります。自然観察路で最下部まで下り北尾根登山コースにも出られますが、この季節はダイヤモンドトレールと北尾根登山コースの合流地点にヤマツツジが多く咲いているので、二番目の分岐からダイヤモンドトレールに行ったん出て北尾根登山コースで下ることをオススメします。

ロープウェイ駅への途中から眺めた御所方面。 葛城山の自然観察路は、新緑の緑がとてもまぶしく気持ちの良いコースです。

ダイヤモンドトレールから自然観察路の最下部とつながる遭難時の位置通報記号「ク」の看板辺りまでは、ザレた急坂があります。しばらくは歩きやすい道を新緑を楽しみながら下ります。位置記号「オ」から段差の有る細い谷道となり、その後はザレた急な下りがくじらの滝コースとの分岐まで続きます。

葛城ロープウェイ駅からは、来た道を近鉄御所駅まで歩きます。

費用

項目 金額 メモ
JR 1420円 三ノ宮から天王寺 x 2
近鉄 1240円 大阪阿部野橋から近鉄御所 x 2
テント場 720円
アイス 350円 二本
合計 3730円

三ノ宮から大阪までは、昼特きっぷを使用するとだいぶ交通費を節約できます。

ゴミ採集ゲーム

今回は大きな荷物を背負っているので、ゴミ採集ゲームを諦めました。でも、ゲームを楽しんでいたら大漁間違いなしでした。

参照と脚注

  1. 満開の時期は例年ですとゴールデンウィーク連休が開けた翌週頃ですが、今年は例年よりも早くゴールデンウィーク終わりには既に見頃となっていたようです。
  2. 絶景。山上のつつじ園。テント泊で訪れる葛城山。
  3. 第4節 大気汚染を探る – 啓林館
  4. 山肌、赤のメイク…葛城山でツツジ見頃 – YOMIURI ONLINE
  5. ミヤコツツジ – 岡山大学自然フィールドワークセンター
  6. ニリンソウの金剛山からカタクリの葛城山へ – 歩(ある)ってみる
  7. 03 キャンプ場 – 国民宿舎葛城高原ロッジ